完全に放置してしまったけど、今更ながらメテオハイブリッドのインプレ編を書いておこうと思う。
実は、この冬にてフレームを交換する予定ではある。
既に自転車から撤退してしまったメーカーの、既に販売していないモデルのインプレッションということで、この記事にどれだけ意味があるのかは謎だが、自分なりのひとつの区切りとして書いておこう。
少なくとも2年分の経験値を伴って話せるはずだ。ちなみに前編?はこちらです。
2シーズンに渡ってJBCFレースを共に戦い、E1昇格までさせてくれたこのフレーム。アルミであるにもかかわらず性能としては実業団レースを戦う上でもまったく申し分なく、十分な働きをしてくれたと感じている。
それではさっそくインプレッションに移ろう。
1.インプレッション
今回は手持ちの唯一のカーボンフレームであるVXRSとの相対評価形式で書いていこうと思う。メテオハイブリッド、では字面が長いので以降、GDRと略記する。
下記に評価項目の6要素を抽出してグラフ化した。6要素はエイムック社のロードバイクインプレッションからぱくっインスピレーションを得て、各10段階評価方式とした。
剛性感 VXRS「9」VS GDR「9」
まず、剛性感だが同じ評価点でも2台で印象が異なる。VXRSは乾いた硬さでGDRは若干粘りがある硬さという感じ。VXRSが高回転系のペダリングが合うのに対して、低ケイデンスでトルクをかけたペダリングが合うのがGDRという印象だ。高ケイデンスな走り方はGDRにはあまり合わないと感じている。自分は元々ケイデンスが低いタイプなので気にはならないが、この点は人によっては合わないと感じるかもしれない。感覚的に特に硬いなと感じるのがBB廻りとヘッドチューブ廻りだ。ハンドルを押したり引いたりしてもフレームが撓んでいる感覚が少ない。かと言って激しく力を消耗していくような感じはしないので不思議だ。大きなトルクをかけやすいフレームである。
登坂性能 VXRS「9」VS GDR「9」
上記のことから、登坂時間や距離によって評価が変わってくる。5分未満の登坂では重いはずのGDRの方が良いタイムが出ている。重いギアをかけて踏んだ時に不思議と粘れる印象だ。特に300W~400WあたりのL5,6領域でその特徴が最も活きてくる。Stravaなどで短時間のKOMを取っているのは多くがGDRで、5分以下の登坂では平均して10秒くらい速い結果が出ている。逆に距離の長い15分以上の登坂だとトルクだけでは保たないので回し続けられるVXRSの方が速くなってくるような関係性にある。(もしかすると付いているホイールの性能差やクランク長の差が原因だという説もあるが。)
ハンドリング VXRS「8」VS GDR「9」
VXRSはひらひらと軽やかに動くのに対して、GDRは重心が低くコーナーで安定したキレの良い挙動をする。特にVXRSはフロントの軽さが際立っていて、振って軽いので操作感が爽快で気持ちいい。月並みな表現で恐縮だが、乗っていて爽快感があり、いつまでも乗っていたくなる。TIMEのフレーム特性とはこういうものなのかもしれない。ネガティブ面としてはコーナーでアンダーステアな傾向にある。現在のフレームに比べるとフロントの剛性が若干低いのかもしれない。外に膨らむ傾向にあるためコースどりのシビアなクリテリウムなどは不向きかもしれない。
一方でGDRは高速のレースでもどっしりと安定していて狙い通りのラインを走れるので、きつい局面や密度の高いコーナーでも安心して突っ込んで行ける。これは実業団レースでは大事な要素だ。2台はお互いに得意なフィールドが異なると感じるが、実業団レース優先で考えるとラインの読めるGDRの方が勝ると思っている。
加速性 VXRS「9」VS GDR「8」
これはVXRSの方が良い。GDRはダンシングや最大トルクでガツンと踏み込んだ際に若干のウィップ、悪くいうとロスを感じる。より具体的に言うと、シートステーが柔らかい傾向なのか、アップストロークの時にフレームがよれている感覚がある。そのためGDRは1000W超えの瞬間的なスプリントよりも30秒~1分かけてじわじわと重いギアを一定に踏み続けた方が進むように感じる。
振動吸収性 VXRS「10」VS GDR「7」
言うまでもなくVXRSの方が良い。これが長時間乗った際の疲れにくさに繋がっている気がする。GDRだと2時間ほど乗っていると手がうっすら痺れてくるが、VXRSでそういうことを感じたことはない。もっともひたちなか3時間ではGDRで勝っているので、リザルトに支障があるレベルではなく若干気になるかな、といった程度。リアについてはシートステーの吸収性が良いのか3Tのカーボンシートポストがいいのか、アルミの特有の硬さというのはほぼ感じていない。硬いと言われるレーゼロに4000SⅡを履いてこれなので、GDRもアルミの中では悪くない部類なのだと思う。やや硬めのカーボンフレームと言われても分からない程度だと思う。
デザイン性 VXRS「10」VS GDR「8」
これは個人の好みなので評価項目として適正なのか疑問だが、VXRSの持っている雰囲気は独特だ。ホリゾンタルに近く時代に逆行した細いフレーム形状、独自の製法で産み出されたカーボンの目がとても美しい。丁寧に作り出された工芸品のような雰囲気を感じさせる。一方でGDRには余計なことはせず機能に基づいて作られた「機能美」を感じる。金属疲労に弱いアルミの溶接あとがたっぷりと盛ってあり、非常に安心感がある。流行りの「薄く軽く」というよりある程度頑丈に長く乗れることを優先しているのが垣間見える。接合部分は潔く切ってアルミのパイプの中に納めてあり、無骨ではあるが機能を追求した形状という感じでこれはこれで美しい。塗装色がグレーなのも、どうせアルテあたりで組むんだろう、といった粋さを感じる。好みなのはVXRSだが、GDRにも大衆車的な美しさがあると思う。
以上が2台を比較した場合の相対的評価である。
2.まとめ
メテオハイブリッドは5分以下の高強度でトルクがかけられること、コーナーでの挙動が安定していることなど、実業団レース向きの特性を備えていると感じている。
特に5分以下の高強度領域は、時間が短く局所的に強度の上がる実業団レースでは勝負を分ける重要なファクター。その点でアドバンテージがあるのは大きい。
最大トルク時に感じるロス感についてはクランクの105採用にも原因がある可能性があるので、FC9000を導入して変化するか検証してみたいと考えている。
(追記)
ここまではFC9000導入以前に書いて1年ほど放置していた内容である。
2017年の3月の宇都宮クリテの前にFC9000を導入した結果、だいぶ剛性感は上がった印象となった。端的に言うとダンシングしやすく、もがきやすくなった。このあたりはE2における安定したリザルトに寄与していたと思われる。
また、2017年の秋までホイールはアルミのレーシングゼロで走ってきたわけだが、E1に昇格したご褒美として前橋クリテリウムの後にレーシングゼロカーボンを導入した。その結果アルミフレームのネガティブな面を概ね取り払うことができた。
具体的に言うとダンシングの時の軽快さ、ロス感がなくなったのと、上死点の抜けが良くなった。これはフレームというよりレーゼロVSレーゼロカーボンの話になるので、ここで深く記述することは避けるが、パーツの変遷としてはクランクを変えたこととホイールを変えたのみである。
3.あなたの愛車みせてください風写真館
シクロワイアード風に愛車紹介しよう。一度やってみたかったやつ。ただセルフィは難しいので今回は人は抜きで。
こだわりのポイントを「シクロワイアード」っぽく幾つか紹介していこう。
パーツ類は3Tを中心に構成している。丸ハンドルの3T Rotundo Proが落差が取れて気に入っているため、ハンドルに合わせて3Tのステム、シートポストを選んでいる。
サイコンはキャットアイのストラーダスリムという速度のみ表示されるシンプルなタイプだ。パワーメーターは付いていないので、速度と距離だけ分かれば良い。なるべく小さく空気抵抗になりにくいものということで選んでいる。
ヘッドにはテーパーがついている。溶接あとがはっきりと残り、安全性と強度を優先させた作りであることが伺える。このあたり好き嫌い別れるかもしれないが、自分は全然アリ。
ホイールはフルクラムのレーシングゼロカーボンをアッセンブル。このホイールは万能である。本当にすごい。また、ホイールとフレームの差し色のカラーが揃っているのがさり気ないポイントだ。
コンポーネントは6800系アルテグラを中心に構成され、クランクのみ9000系の52t/36tが取り付けられている。リアのスプロケットは11t/28t。ギアはチェーン落ちを避けるためフロントの変速を減らしたいので、なるべくワイドであるほうが好ましい。
ゼッケンプレートはTNIのワンボルト式の軽量のものが取り付けられているのも見逃せない。エミネンザのカーボンボトルケージも軽量性を優先して選択した。アルミフレームの重量増加を解消するため軽量化に余念がない。
サドルはセライタリアのマックスフライト、ゲル入りのクッション性の高いものだ。これだけは重量があることを考えずに使っている。非常に気に入っており持っている自転車3台のいずれもこれが付いている。
ホイールにはバランスを取るために鉛が貼り付けられている。もともとはゴルフクラブに使う用のものだ。3gも違うと高速域で違いがはっきりと体感できる。
以上シクロワイアード風自転車紹介でした笑
ちなみにシクロワイアード風撮影のポイントは
- 背景を遠景にすることで自転車を際立たせる。
- 当然だがドライブトレインの写る右側を前に。
- クランクをシートチューブかチェーンステーと平行にする。
- ホイールのバルブを上か下に揃える(ホイールのロゴが揃うため)
- 人は後輪の後ろに立つ(自転車を大きく見せるため)
- 少し離れて撮って拡大トリミングする。近くで撮るとレンズの歪みが出やすいので。
ということらしい。ただ今回は遠景+トリミングでもやったけどどうもカメラがしょぼいのかそれらしくならないので不採用となった。そのうち良いカメラが手に入れば挑戦してみたい。
これ、結構楽しいので、チームメートの自転車編でもやってみたいな。
自転車の拘りというのは個人の好み・思考が表れるので、見ていて面白いと思う。
ここまで書いてきたが、正直に言ってフレームの性能差ってレースのリザルトに直結するほど大きな差ではないな、と思ったのもここまで2シーズン戦ってきた率直な感想ではある。
違いは感じるが、結果を大きく左右するほどではない。特に時間の短いJBCFではアルミフレームでも十分である。長いレースとなると疲労感に差が出てくると思うが。
最も重要なのはポジションが出せるかどうか。次にタイヤ・ホイールあたり。フレームの影響力なんてその次の次くらいなんじゃないか。
そうは言いつつ、じゃあなぜ乗り換えるんだという疑問に対する理由を書いておこう。
昨シーズンの後半でE1やアマチュアハイクラスのレースを数戦走ってきて、実力差が非常に拮抗していることは肌で実感している。ほんの少しの差がリザルトを変える戦いだ。
であればトレーニングは当然ながら、機材面も最善を尽くし自分に言い訳することなく戦いたい、と考えた結果乗り換えを決めた次第である。
また、距離の長いロードレースに出ていきたいと思っているのも理由のひとつとしてある。JBCFにおいてもE1となるとレース時間はそれまでより長くなるので最後まで少しでも脚を残しておきたい。疲労感という点ではやはりカーボンに分があるのだ。
最後に、メテオハイブリッドは思い入れもあるしまだまだ使えるフレームであることから、何かあった時のために手元に残しておこうと思う。
次のフレームもこの位思い入れのあるものになることを願って、本記事を閉じることとする。
ありがとうメテオハイブリッド。
(※次のフレームについてはある程度組み立てが終わってから書きます。たぶん。きっと。)
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